サービス財消費における顧客のフロー体験と、感動、満足との関係

第52回消費者行動研究コンファレンスにて、「顧客フロー体験と感動、満足との関係」のタイトルで、報告する機会を頂きました。

www.jacs.gr.jp/pdf/52th_conference_pg.pdf

Jacs Flow and Satisfy 51.pdf (2922347)

Aes motive Jacs abst 5.pdf (191510)

フロー体験(没入体験、審美体験)とは、人にとっての最適経験であり、内発的動機をもたらすものとされます。それはサービスマーケティングの文脈において、顧客満足、感動、そしてロイヤルティ形成とどのように関係するのか、本調査はこの点の理解を目的としたものです。観光というサービス財消費を対象とした調査を実施しました。その結果、顧客がフロー体験を受けるとき、それは覚醒(興奮する、など)と相関しつつ、肯定的感情(うれしい、幸せ、など)の生起を経て、顧客の感動や満足、そして推奨意向(人に勧めたい)や再訪意向(また来たい)といったロイヤルティ形成につながり得ることが示唆されます。すなわち観光事業者などのサービス財提供者にとって、顧客がフロー体験を受けるようなサービスを実現・提供することは同時に、感動・満足を経たその顧客のロイヤルティを得ることが考えられます。

とりあえずこの段階で報告させて頂きましたが、今後修正し、展開する余地が残されています。特に、

ー本調査では、フロー状態概念の尺度としての信頼性がやや低く(α = .63)、さらにAVEも低い故に収束妥当性、弁別妥当性がやや不十分。

ー本調査ではフロー体験概念の中のフロー状態のみを取り上げ、フロー条件は含まれて検討されていない。

まずは最低限、以上の点を修正していくつもりです。今回本報告をお聞き頂きました先生方よりも、これらの点についてご指摘頂きました。

貴重なアドバイスを大変ありがとうございました。

また別にご指摘頂きました通り、実務的にも、どのような場面でどの程度のフロー体験が得られたのかなどについても明らかにしていきたく考えています。

また本調査ではフルペーパーも用意しています。ご連絡頂ければお送り致します。もしレビューを頂ければ幸いです。

BSCによる阿蘇文化景観保全活動マネジメント

 BSC Based Aso Cultural Scenery Preservation Effort Management 

九州共立大学総合研究所客員研究員横川洋先生(研究代表)他との共同研究

研究概要:

 バランスト・スコア・カードとは、企業経営や行政、病院経営などにおいて活用される戦略経営時代のマネジメント・システムである。バランスト・スコア・カードを活用することにより企業等は戦略をとおしてビジョンを確実に実現できる(吉川、2006)。本研究では、世界遺産登録化を目指す阿蘇文化景観保全活動にこのバランスト・スコア・カードの応用を検討し、関連各活動の戦略的マネジメントの指針を提供することを試みる。